升谷真木子個展「Whose sleeve?」

 21, 2016 20:21
パソコンが壊れるという全く想定外のトラブルに見舞われ

思っていた以上に復旧に時間を取られ

やろうとしていたこと、やらなければならないことが

遅々として進まず、主に仕事の面では未だに

復旧作業と現在進行中の作業が重なってなかなか片付かない。



そんな中でも、なんとか時間の合間を縫って

ギャラリーや美術館にはいくつか足を運んでいる。


それが良い気分転換にもなるから。




升谷真木子個展「Whose sleeve?」をのぞいてみた。



会場のSatoko Oe Contemporaryをふとしたきっかけで見つけて

以前に一度伺ったことがあり、なんとなく「好きな空間」と思った。



ギャラリーのホームページで今回の個展に関する

アーティストの言葉に「香り」とつながる、

連想させるものを感じて即「行かなきゃ!」と。



実際に行ってみて、これまた直感的に「好き!!」と思った作品が

今回のアロマイメージです。


IMG_1135.jpg


《aroma image》

Orange, Bergamot, geranium, mimosa, vanilla, benzoin,

Chamomile, eucalyptus, petitgrain…etc





“小さなわすれもの”というタイトルのこの作品、

最初に暖かくやわらかく愛らしい色彩にとても心惹かれた。



どこかノスタルジックで懐かしい、

子供のころのピュアで無邪気な記憶や思い出が

ふわりと寄り添い、包み込むような香りをイメージ。



甘くてキュートなスイーツや可愛らしいお花に

フレッシュで爽やかなプチグレンのアクセントが効いた

センチメンタルだけじゃない明るく洗練された香り。



香りの演出は、どこまでもさりげなく軽やかな空気感で。



作品を鑑賞する人が遠い昔に置いてきてしまった何かを

ふっと思い出し心が和む時間と空間。




作品の前に立ち、一瞬ほのかな香りが鼻先をかすめたように感じた。


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塩田千春展「鍵のかかった部屋」

 30, 2016 22:18
一度見に行った展示に繰り返し足を運ぶことは

これまでほとんどなかったと思う。




先週、まず塩田千春展「鍵のかかった部屋」と

ダンスのコラボレーションプログラムを観に行った。



1週間後、今度は作品展示だけの会場を再び訪れた。




会場に入った瞬間、覆いつくすように張り巡らされた赤い糸と

5つの扉、世界中から集められた使い古しの鍵が目に飛び込んで

圧倒的なパワーに思わず「わっ」と声をあげそうになった。


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とてもドラマチックでスケールの大きな作品に

震えるほどの感動を覚えたのだけれど、

心がざわつくようであり、不思議と静かになっていくようでもあり。



美と醜、光と影、陰と陽、激しさと穏やかさ…etc

そこには相反する要素が混然一体となって存在しているように

感じられた。



どこか艶めかしさや“血”を想起するところもあって

赤い糸が人間の血管や細胞のようでもあった。




「記憶」が作品のキーワードになっていて

扉を開け作品の中に入っていく自分が、心の奥深くに存在する

鍵のかかった部屋に足を踏み入れていく感覚を覚えた。



その部屋はおそらく本人すらも気づかない、あるいは

意識的か無意識的に封じ込めた記憶がストックされた場所で

作品の中を歩き回ったり、外から眺めたりするうちに

自分自身と向き合っている気持になった。



でもそれはネガティブな感覚ばかりではなくむしろ心地いいもので、

絡まる糸を見ながら、反対に心が解けていき

ある種瞑想しているようだった。




うまく言えないけれど、「許す・許されている」という感覚。

自分の良いところも受け入れ難いところも。


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香りの演出をするとしたら。


作品展示だけの場合とコラボレーションの場合とでは

演出する香りも変わってくる、というより変えたほうが効果的だと思う。




≪aroma image≫ ※作品展示のみの場合

Howood, Sandalwood, cedarwood, ylang ylang, geranium,

patchouli, spikenard, juniperberry, labdanum, cardamom,

orange, vetiver…etc





「赤」のエネルギーや鮮烈な印象に、少し泥臭さを感じる

土壌や根のイメージを加えた香り。




酒井幸菜さんのダンスとのコラボレーションでは、

ピュアで透明感のある光のようなものを感じたので

lemonlimeeucalyptus radiate, peppermintなどを

さらに加えて幻想的で洗練された雰囲気の香りに。




会場の、恐らく、黒いシートのゴムの匂いが結構気になった。

演出するとしたら、香りでマスキングするか

調和するような香りで気にならないようにするか。



いずれにしても、比較的強めの香りで演出するのがいいように思う。

作品のパワーをより強調するかのような。




何枚も写真を撮って、作品の内と外をぐるぐる歩きまわり

ときどき立ち止まって、そこに展開される世界を

いつまでもぼーっと眺めていたいと思った。


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TRANSMISSIONS people-to-people

 18, 2016 17:48
知識を伝承していく「人」にスポットをあてた写真展。



シャネル ネクサスホールで開催中の

ティツィアーナ&ジャンニ バルディッツォーネ写真展。



瞬間をとらえた写真でありながら

そこには、伝統が受け継がれていく過程が見て取れ

その重みと精神性の高さに感銘をうけた。



親から子へ、子から孫へ、また、師から弟子へ。

長年繰り返されてきたであろう伝承のかたちや

伝承していく人たちのひたむきな魂が深く心に響く。



その姿は、格好の良いものばかりではなく

地味で素朴で無骨だったりもするけれど

それがかえって見る側の心を揺さぶる気がする。





 ≪aroma image≫

Patchouli, Nutmeg, Spikenard, Vetiver, Juniperberry, Lavender

Eucalyptus, Lemon Teatree, Peppermint, Hinoki, Rosemary…etc





雄大な大地と魂の輝きのようなものをイメージした香り。



知識が伝承されていくイメージは、どこか大地に似ていると思う。

たとえ、掘削されても、地面が割れても、水や氷の底に埋もれても、

地球の場合、マグマまで達しなければ

“地”はずっと変わらず“在り続ける”もの。

多少形を変えても本質は変わらずに存在し続ける。



そして、世代を超え、技のみならず心の在り方までも

脈々と受け継いでゆく人たちの情熱と崇高な魂を

ほの白い光のようにイメージした。



アフリカやアジアの人たちの写真が比較的多かったため

香りの素材もアジアや中東に多く原産されるものを

中心に考えてみた。




観覧する人の心にじわりと浸み込むように

会場全体をほのかに香らせて、

写真の向こう側の世界や空気感を共有し

疑似的に体感できたり、つながっているような感覚をもてる

演出ができたら素敵だろう。



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世界中の文化の多様性や高度な技術に頼らず、

人間の感覚を信じ、五感を研ぎ澄まし

それをフルに活用していることにも心を打たれる。



技を習得しようとする人たちの

見えないものをも全て見逃さず、必死に捉えようとするような

目の力強さや輝きも印象的。




世界中にはまだまだ知らないことがたくさんある。

旅に出て、実際に写真の中の人たちに会ってみたくなった。


internal←→external 森夕香・戸張花展

 11, 2016 14:44
内側と外側。



対極にあるようにみえて、常に一体であるもの・こと・状態。



そんなことに思いを巡らす展覧会に伺う。




internal←→external  森夕香・戸張花展

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絵画と彫刻。

異なる素材や技法、アプローチの仕方でそれぞれの世界を表現する

ふたりの女性の作品展示。



視覚的には異質な作品同士でありながら、

その裏にあるふたりの創作に対する動機やポリシーに

つながっているものを感じる。



体感的なものを重視して、五感に強くフォーカスしているように感じた。



どことなく、私自身の「香り」に対する思いや表現したいことに

通じるものがあって共感したし、興味深かった。




戸張花さんの彫刻は、しばらく眺めていると鉄が木のような

ナチュラルな素材に見えてくるのが不思議。


時間の経過とともに質感や色が変化していくのだとか。

金属(鉄)に命が吹き込まれ息をしているかのようだった。

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今回は、目に見える一見全く異なった2人の作品を

香りという目に見えない素材でつなぐ。

それぞれの作品の根底に流れる共通点を香りが代弁し

境界線をあいまいにしていく。



そんなイメージで香りを考えてみた。

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≪aroma image≫
Sandalwood, Labdanum, Eucalyptus, Clove, Ylang ylang,
Frankincense, agarwood, Geranium, Patchouli…etc





木、花、柑橘、ハーブといった、素材の香りがわかりやすいものではなく

樹脂系のすぐには何の香りかわからない

深みのあるミステリアスな香りが合う気がする。



お線香の煙のように、緩やかでしなやかな、

少し重さのある質感をもち

勢いよく遠くに広がっていくのではなく

ゆっくり、じわじわと床から立ち昇って

存在するすべてを包み込み、一体となっていく香りと演出。




ただ感じるままにする。



呼吸とともに香りが深く自分の内側に浸透し、リラックスして

思考から解放された状態で

ふたりの作品と向き合う時間と空間。



新たな気づきに出会えるかもしれない。



Gallery916

 03, 2016 22:30
かつて、東京の”湾岸”と言われる地域には

クラブやディスコ、おしゃれなレストランやバーが点在し

時代の先端をゆく感度の高い人たちの遊び場となっていた。


今から20数年くらい前の話・・・


今のように「ゆりかもめ」もなかったので、

それぞれのスポットに行くのも不便で。


でもその不便さがかえってスペシャルな感じで

遊び慣れた人たちにとっては”そそられる”場所だったのかも。




Gallery916は、そんな湾岸地域にあるギャラリー。

その昔、わりと近くの似たような地域で働いていたこともあり

なんとなく懐かしい。

湾岸ではたまーにしか遊んだことないですけど。




写真家・川内倫子のThe rain of blessingの展示を見に行く。




日常の何気ない風景や瞬間をとらえた写真たち。



会場のクールで無機質な印象が

写真に収められたきらめきや幻想的な雰囲気を

かえって際立たせているようにも感じました。



IMG_0696.jpg


作品のイメージや湾岸地域という環境のことは省いて

作品が展示されている空間自体に焦点をあてて

香りを考えてみた。



≪aroma image≫
Juniperberry, Eucalyptus, Peppermint, Grapefruit, Lime,
Blue cypress, Black pepper, Marjoram sweet...etc





ベースはクリアで透明感、清涼感のある香りをイメージ。

そこにアクセントとして、黒やダークブルーを思わせる香りや

スパイシーな香りをたしていくような。


ドライな印象で都会的、個性的かつ洗練された香り。




あくまでも薄く、さりげなく、かすかに香りを感じる程度に会場に流して

香らせること以上に、空気をよりスッキリとクリアにすることを配慮し

香りをデザイン&演出。




広々とした空間にゆったりと作品が並び、

建物の6Fにあるギャラリーの窓からはスカイツリーや

東京湾なんかも眺められる。



ソファにのんびり腰かけてコーヒーを飲みながら

贅沢な時間を過ごしました。




もしも、作品にフォーカスして香りをつくるとしたら

全く違った印象のものができるかもしれない。


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